きれいなひと

著:壱原リンコ

それは、じぶんとはとてもかけ離れた存在
どこまでも真っ白で、まっすぐで。

とても、とてもきれいなひと
流した涙の分だけひとに優しくて、でも自分には厳しくて。
どんなに大変なときでも、いつも笑ってくれた。いつも誰かのことばかり。
いつでも優しく笑ってくれるから、その裏でどれだけ傷ついているかなんて
気付かなかった。気づけなかった。汚く染まった私のために、心から泣いてくれた。
なんて、綺麗な涙。 私には、勿体無いと思った。

流した涙の分だけひとに優しくて、でも、その裏でどれだけ傷ついたんだろう。
優しく笑う君が、痛々しくて。 なにか、してあげたかった。力になりたかった。
でも何も出来なかった。 無力な自分が腹立たしかった。
手を差し伸べることさえもできないでいる私。だって、それは君に対して失礼なことだから。
君を否定することになるから。

なにか、なにかしてあげたいと思った。でも何も出来なかった。
無力な私に、気持ちが嬉しいと言ってくれた。
全てを拒んでいた私にも、優しく笑ってくれた。
とても、とてもきれいなひと

変わりゆく世界の中で、何一つ変わらないひとがいる
どこまでも真っ白で、まっすぐで。
とても、とてもきれいなひと

哀しくて、流した涙の分だけひとに優しくて、自身の傷をかえりみない、きれいなひと
優しく笑っている裏で、たくさん傷ついてきた。たくさんの涙を流してきた。
それでも優しい君の姿

痛いまでに、この目に焼き付いた、きれいなひと
傷だらけで、どこまでも真っ白で、まっすぐな君の姿
とても、とてもきれいなひと

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