アンチドラマ症候群
文章の最初でこんなことを言うのも気が引けるが、私はドラマが嫌いだ。ドラマを見る時間がないというのもあるが、もし時間があったとしても絶対に見ないだろう。ああ、ドラマのことを考えるだけで、胸がむかむかする。
だいたい、近頃のドラマは演出過剰すぎる。ピンチのときにタイミングよく現れて助けてくれるヒーローも現実には存在しない。ドラマのように都合よく偶然がつづくわけがない。本当の日常というのは、平凡で、単調で、面白味のないものなのだ。
私の一日の生活をかいてみよう。朝六時に起きて、八時に出社。きっちり五時まで働いて、夜七時には家に帰る。夕食をとり、翌日の仕事の準備などをして、十時にはベッドにはいる。ドラマのようにロマンティックな出会いがあるわけでもなく、夢のようなシンデレラストーリーがあるわけでもない。それでも、私は精一杯生きているのだ。日々のささやかな楽しみ(一日の終わりの缶チューハイ一本)を支えに毎日嫌な仕事に耐えているのである。
ほんとうの日常とはこんなものである。白馬に乗った王子様との夢のようなラブストーリーなどありはしない。現実にないことを描くからドラマはおもしろいのだという人もいる。しかし、私はそうは思わない。ドラマは人間の日常に根ざしたものでなければならない。現実には起こることのない過剰な演出は決して必要ないのだ。
もう夜の十一時だ。くだらないことをかいていたらあっという間にこんな時間になってしまった。明日も仕事が速いし、今日はもう寝るとするか・・・。
何なんだ、この恐ろしくつまらないドラマは。(斬新なアイディアの新ドラマ)と新聞に書いてあったから見てみたが、とんだ期待はずれだった。ドラマは非日常的な展開があるからおもしろいのであって、まるっきり日常に近いドラマなんか見る価値もない。そのうえ、自分の平凡でつまらない人生を見せつけられているようで嫌気がさす。
こんなことを考えているうちにますます腹が立ってきた。こんなくだらないテレビなんか消して、もう寝ることにしよう。
ぶちっ。
完
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